「(欠員が出たから)誰か良い人がいたら、採用したいんだけど」
この「良い人がいたら」や「だれでもいいから」という言葉こそ、私たちが採用のミスマッチを防ぐ上で、最も危険視している言葉の一つです。
なぜなら、採用活動が感覚で行われている典型的な兆候だからです。
「良い人」とは、具体的にどんな人でしょうか。
経営者にとっての「良い人」:「理念に共感し、コスト意識が高い人」
現場のA部長にとっての「良い人」:「即戦力で、文句を言わずに業務をこなしてくれる人」
現場のB先輩にとっての「良い人」:「自分の業務を手伝ってくれて、素直に言うことを聞く人」
このように、求める人物像が曖昧なまま採用活動(面接など)を進めると、面接官の立場やその時の印象によって、良い人の基準がバラバラになります。
結果、どうなるか。
面接の場では「なんとなく良さそう」と全員がOKを出したにも関わらず、入社後に「こんなはずじゃなかった」という採用のミスマッチが必ず発生します。
経営者は「理念への共感が足りない」と感じ、
現場は「即戦力と聞いたのに、話が違う」と感じ、
新入社員は「聞いていた業務と違う」と感じる。
これは、仕組みの失敗です。
私たちが、採用をご支援する際に最初に着手する仕組みづくり。
それが、採用ペルソナの設計です。
ペルソナと聞くと、マーケティング用語のようで難しく感じられるかもしれませんが、私たちがやることはシンプルです。
それは、企業が本当に来てほしい人を、関係者全員(経営者、現場)が同じ解釈をできるよう、徹底的に言語化することです。
多くの企業が、採用基準を「スキル(Can)」(例:営業経験3年、エクセルが使える)だけで設定しがちです。
しかし、定着(人が残る)のためには、それ以上に重要なことがあります。
それは、「価値観(Will)」と「人柄・文化(Culture Fit)」です。
「そのスキルを使って、どう働きたい人なのか?」
「その人柄は、ウチの文化に合うのか?」
私たちは、この曖昧な部分を、具体的な行動に落とし込みます。
NG(曖昧): 「明るく、協調性のある人」
OK(具体的): 「チームの成功を、自分の成功として一緒に喜べる人」
OK(具体的): 「分からないことを、放置せず、すぐに質問・相談できる人」
OK(具体的): 「失敗(ミス)した時に、隠さずに報告できる誠実さを持つ人」
採用活動とは、企業と求職者がお互いに、お見合いをする場だとよく言われます。
企業側が自分たちが結婚したい相手(ペルソナ)を明確に言語化できていなければ、お見合い(面接)の場で正しい判断ができるはずがありません。
この採用ペルソナ(物差し)という仕組みを最初に構築すること。
それこそが、面接質問(【生成AI】AIが作った面接質問、そのまま使っていませんか?)やプロンプト(【生成AI】「プロンプト」とは結局、何ですか?)、求人票(【採用】求人票で、まだ「アットホーム」って書いてませんか? )といった、すべての採用活動の核となり、採用のミスマッチを防ぎ、定着につながる、最も重要な第一歩だと考えます。