(【生成AI】ChatGPTに「魅力的な求人票」を“分析”させてみました)や(【生成AI】AIが作った面接質問、そのまま使っていませんか?)などで、生成AI(ChatGPTなど)の活用法に触れてきました。
これらのAIを使いこなす上で、最も重要なのが「プロンプト」です。
プロンプトとは、簡単に言えば、私たちがAIに対して出す指示や命令のことです。
この指示の質が、AIから得られる回答の質を決定づけ、結果として採用活動の効率や、ミスマッチの防止に直結します。
多くの方が、AIが生成した文章を見て「これは使えない」と感じた経験があるかもしれません。
例えば、(【生成AI】ChatGPTに「魅力的な求人票」を“分析”させてみました)で触れた「アットホームな職場」といった、具体性のない表現がその典型です。
これはAIの能力が低いのではなく、私たちの指示(プロンプト)が曖昧だからです。
ゴミを入れれば、ゴミが出てくるという原則は、AIの活用においても全く同じです。
(曖昧な指示):「営業職の求人票を書いて」
(曖昧な回答):「やりがいのある、アットホームな職場です…」
AIは優秀なアシスタントです。
優秀なアシスタント(人間)に仕事を頼む時、私たちは「いい感じによろしく」とは言わないはずです。
良い指示とは、AIが迷わず仕事を進められるよう、人間側が戦略や材料を整理して渡すことに他なりません。
推奨される指示書には、一般的に以下の要素が含まれます。
役割(Role)の指定:
AIに誰になってほしいかを伝えます。
(例:「あなたはプロの採用コピーライターです」「あなたは社会保険労務士です」)
目的(Goal)の明確化:
最終的に何が欲しいのかを伝えます。
(例:「求人票のキャッチコピーを作ってください」「この記事を要約してください」)
背景と制約(Context):
どのような状況で、誰に向けたものか、守るべきルールは何かを伝えます。
(例:「ターゲットは30代の経験者です」「長所短所のような一般的な質問は除外してください」「誠実なトーンで」)
素材(Input Data)の提供:
AIが調理するための材料を与えます。
これが最も重要です。
(例:競合他社の求人票テキスト、自社の企業理念)
出力形式(Format)の指定:
どのような形で回答してほしいかを指定します。
(例:「箇条書きで」「表形式で」「500文字以内で」)
(良い指示の例)
「あなたはプロの採用コピーライターです(役割)。『農耕型(後日記事にします)』のペルソナ(背景)に響くよう、私たちが提供する『競合他社の求人票』(素材)には書かれていない『入社後のサポート体制』(背景)を強調したキャッチコピーを(目的)、5パターン作成してください(形式)」
AIは、面倒な文章化の時間を短縮してくれます。
しかし、AIに渡すべき戦略(ペルソナや、競合との差別化ポイント)を考えるのは、私たち人間の仕事です。
プロンプトを考えるとは、すなわち自社の採用戦略を言語化すること。
この考え方こそが、AIを魔法の杖ではなく優秀なアシスタントとして活用し、採用の入口の質を高め、定着につなげるための第一歩だと考えます。