求める人物像(【採用】「求める人物像」が曖昧だと、採用は必ず失敗します)」が明確になり、いざ求人票を作成する段階で、多くの経営者や人事担当者が「自社の給与はいくらに設定すべきか」という壁に突き当たります。
その際、「去年と同じ水準で」「なんとなくこの金額で」と、自社の都合だけで給与を決定していないでしょうか。
私たちは、この競合調査(=市場の相場観)の欠如こそが、応募者が集まらない、あるいは合う人が採用できない根本的な原因であると考えます 。
なぜ、採用戦略において競合調査が必須なのか。
その理由と調査の視点を解説します。
理由はシンプルで、採用活動は市場(マーケット)で行われる競争だからです。
応募者は、貴社に応募すると同時に、必ず複数のライバル企業の求人票も見ています 。
彼ら(彼女ら)は、貴社の求人票を、ライバル企業の「給与」や「年間休日」といった客観的な条件とシビアに比較検討しています。
もし、貴社が市場の相場観を理解しないまま、
(NG例1) 相場より極端に低い「給与」や「休日」を提示している
(NG例2) 相場と同じ条件なのに、魅力が伝わらない書き方をしている
この場合、応募者は貴社を比較検討の土俵にすら上げず、静かに応募ボタンを押さずに立ち去ってしまいます。
これが、「ウチの求人、なぜか応募が来ないんだよな…」という事態の正体です。
採用活動は、勘や経験で行うものではなく、客観的なデータに基づいて行う戦略です。
最低限、以下の視点で自社の立ち位置を把握する必要があります。
「職種(例:看護師)」「エリア(例:横浜市)」「雇用形態(例:正社員)」で絞り込み、ライバル企業の「給与(下限と上限)」を調査します。
これにより、自社の提示額が市場に対して魅力的か、あるいは見劣りするかを客観的に判断できます。
給与と並んで重要なのが「休日(年間休日数)」や「働き方(残業時間・夜勤の有無など)」です。
給与が相場より低くても、「年間休日125日以上」「残業ゼロ」といった強みがあれば、それは給与以上の武器になり得ます 。
ライバル企業が、求人票でどのような強み(例:福利厚生、教育体制、職場の雰囲気)を打ち出しているかを分析します。
ライバルと同じ土俵で戦うのではなく、ライバルが持っていない、自社だけの強みを見つけ出し、アピールする戦略を立てるために不可欠です。
採用は仕組みです。
なんとなくで給与を決める経営から脱却し、客観的なデータに基づいて戦略を立てること。
しかし、この競合調査を「どこでどう検索し、どう分析すればよいか」、その具体的な手法や分析には専門的なノウハウが必要です。
この客観的な事実と向き合うことこそが、「人を迎え、人が育ち、人が残る」職場環境の基盤となると考えます。