「新人がなかなか育たない」
「教える時間がなくて、つい自分でやってしまう」
「一度教えたはずなのに、何度も同じことを聞いてくる」
中小企業の社長から、最も多く寄せられる悩みの一つが教育です。
誰もが、マニュアルを作ればいいことは分かっています。
しかし、現実はどうでしょうか?
「パソコンに向かって、業務手順をイチから書き出す時間なんてない」
「頑張って作っても、すぐに内容が古くなって誰も読まなくなる」
その結果、俺の背中を見て覚えろ(OJT)という名の放置になり、新人は何をしていいか分からず不安になり、早期離職に繋がります。
この悪循環を断ち切るのが、生成AI(ChatGPTなど)です。
本記事では、キーボードを一切叩かずに、喋るだけで、プロ並みの新人教育マニュアルを作る具体的な方法を解説します。
多くの人がマニュアル作りで挫折する理由は、綺麗に書こうとするからです。
構成を考え、てにをはを修正し、図解を入れる…。
これは膨大な労力を要します。
しかし、人間は書くよりも喋る方が、圧倒的に速く、情報量を多くアウトプットできます。
例えば、10分間の業務説明を文章で書こうとすれば1時間はかかりますが、喋れば10分で終わります。
このスピードの差を利用しない手はありません。
まず、スマホのメモ帳や音声入力アプリ(Googleドキュメントの音声入力など)を立ち上げてください。
そして、実際にその業務を行いながら、あるいは新人が目の前にいると仮定して、実況中継を行ってください。
(社長の独り言の例)
「えーと、まず朝来たらPCをつけて、あ、その前にセコムの解除だな。カードは入り口の右側のボックスに入ってるから。で、PCがついたら、まずメールチェック。特に『クレーム』って件名のやつは最優先で開くこと。これ大事。放置すると大変だから。返信の仕方はテンプレートがあるからそれを使って…あ、テンプレートの場所はサーバーの『営業部』フォルダの中ね」
このように、「あー」「えーと」が入っても、話が前後しても全く構いません。
重要なのは、頭の中にある手順と判断基準(ここが大事!)を、全て吐き出すことです。
次に、その文字起こしされたテキストをコピーし、ChatGPTに以下のプロンプト(指示)と一緒に貼り付けます。
ここでのポイントは、AIに単なる要約ではなく、新人が使える形(チェックリスト)に変換させることです。
【マニュアル作成・深掘りプロンプト】
「あなたは、初心者への指導が得意な教育担当者です。以下の【音声テキスト】は、熟練社員が業務手順を口頭で説明したものです。これを読み解き、新入社員が見て迷わず動ける『業務マニュアル』に書き直してください。
【出力の条件】
ステップ形式(手順1、手順2…)で時系列に並べること。
『判断基準(コツ・注意点)』は、手順の下に【ポイント】として目立たせて書くこと。
『チェックリスト』を最後に作成し、セルフチェックできるようにすること。
専門用語や社内用語には、カッコ書きで補足を加えること。
【音声テキスト】
(ここに、スマホで喋った内容をペースト)」
ボタンを押せば、数秒後には、あれほど雑だった社長の話が、以下のように生まれ変わります。
【業務マニュアル:始業〜メールチェック編】
■手順1:セキュリティ解除
出社後、まず入り口右側のボックス内にあるカードキーで、セコムを解除してください。
■手順2:PC起動とメール確認
PCを立ち上げ、メーラーを開きます。
【重要ポイント】
件名に『クレーム』とあるメールは、他の何よりも最優先で対応してください。
対応の遅れは会社の信用問題に関わります。
■手順3:返信対応
返信にはテンプレートを使用します。
■保存場所:サーバー > 営業部フォルダ > 返信テンプレ.doc
<新人用:朝のチェックリスト>
□ セコムは解除しましたか?
□ 『クレーム』メールの見落としはありませんか?
こうして作られたマニュアルは、単なる手順書ではありません。
新人にとってのお守りです。
「これを見れば分かる」という安心感があれば、新人は上司の顔色を伺わずに自信を持って動けます。
逆に、これがないと「また聞いたら怒られるかな…」と萎縮し、報連相が遅れ、ミスが起きます。
忙しいと言っている暇があったら、スマホに向かって10分だけ喋ってください。
その10分が、未来のあなたの100時間を節約し、社員の定着率を劇的に高めると考えます。