「昔は、一度ヒット商品を作れば5年は食えた。今は半年で真似されて終わりだ」
「採用の流行りがコロコロ変わって、ついていけない」
経営者の皆様から、こうした変化の速さに対する嘆きをよく耳にします。
一寸先が闇の現代において、最も危険な経営判断とは何でしょうか?
それは、現状維持(今まで通り)です。
世界はものすごいスピードで動く下りのエスカレーターです。
立ち止まっていることは、現状維持ではなく後退を意味します。
本記事では、予測不能な時代に、中小企業が大手企業に勝つための唯一の武器、スピードと変わり身の早さについて解説します。
日本企業は、真面目なので計画(プラン)を立てるのが大好きです。
会議室にこもって、3ヶ月かけて完璧な事業計画を作る。
しかし、いざ実行する頃には、ライバルが先に商品を出していたり、お客さんの好みが変わっていたりします。
これでは時間の無駄です。
今の時代に必要なのは、「泥縄(どろなわ)」の精神です。
泥棒を見てから縄をなう(準備不足)と悪い意味で使われますが、ビジネスではこれが正解のはずです。
泥棒(チャンスや変化)が現れる前に、どんな縄が必要かなんて分かりません。
見る(現場観察): 「お、お客さんの動きが変わったな」と気づく。
決める(即断): 「よし、こっちの方向に舵を切ろう」と決める。
動く(実行): 準備が6割でもいいから、明日からやってみる。
完璧な地図ができるのを待っていたら、遭難します。
まずは一歩踏み出し、走りながら靴紐を結ぶ。このスピード感だけが、組織を守ります。
「社長は言うことがコロコロ変わるから困る」
社員からこう陰口を叩かれることを恐れていませんか?
恐れる必要はありません。
むしろ胸を張ってください。
朝令暮改(朝出した命令を夕方変える)こそ、優秀なリーダーの証です。
朝と夕方で、市場の状況や競合の動きが変わっているなら、命令も変わって当然だからです。
一番怖いのは、状況が変わっているのに、一度決めたことだからと間違った方向に進み続けることです。
ただし、社員を混乱させないために一つだけルールがあります。
なぜ変えたかを説明することです。
「気分で変えた」のではなく、「新しい情報が入ったから、ゴールを変えずにルートを変えたんだ」と。
この説明さえあれば、社員は「社長はよく見ているな」と信頼してついてきてくれます。
変化に弱い組織の特徴は、金太郎飴(みんな同じ)です。
社長と同じ考え、同じ価値観の人間ばかりが集まると、意思決定は早くなりますが、危機対応力はゼロになります。
全員が右を向いている時に、左から敵が来たら全滅するからです。
強い組織を作るためには、あえて異物(ノイズ)を混ぜる必要があります。
全く違う業界から転職してきた人。
社長に「それは違います」と意見する生意気な若手。
副業をしている人。
彼らの意見は、最初は耳障りかもしれません。
ウチの社風に合わないと思うかもしれません。
しかし、その違和感の中にこそ、次の時代を生き抜くヒントが隠されています。
自分を気持ちよくしてくれる人ではなく、自分に新しい視点(異物)をくれる人を大切にできるか。
ここに経営者の器が試されます。
ダーウィンの進化論にこのような言葉があります。
「最も強い者が生き残るのではない。最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」
採用も定着も、去年のやり方が今年も通じるとは限りません。
去年うまくいったからという理由だけで今年も同じことをしようとしているなら、それは黄信号です。
過去の成功を捨て、今日の常識を疑うこと。
変わり続けることだけが、変わらない強さを生み出します。