「今年は運よく、いい子が採れたなあ」
「最近、なんとなく職場の元気がなくて心配だ」
中小企業の社長とお話ししていると、採用や組織作りを運や感覚で語られることが非常に多いです。
しかし、社長。
営業活動において「今月はなんとなく売れた」で済ませることはありませんよね?
必ず訪問件数や成約率、客単価といった数字を見て、どこが悪かったかを分析しているはずです。
人の問題も同じです。
「数字で測れないものは、改善できない」。
これは経営の鉄則です。
感覚だけで「あいつは元気がない」と判断するのは、体温計を使わずに「熱があるかも?」と騒いでいるのと同じです。
本記事では、採用と定着を運任せのギャンブルにしないために、経営者が必ず毎月チェックすべき3つの数字(健康診断の数値)について解説します。
求人サイトからの応募数ばかりを気にする企業がいます。
「100人も応募が来た! 人気企業だ!」と喜びますが、結果的に1人も採用できなければ、広告費と面接時間の無駄遣いです。
見るべきは、各段階の通過率(合格率)です。
これを見るだけで、自社のどこに穴が空いているかが分かります。
「書類選考」で落としすぎている場合:
求人票の書き方が間違っています。
誰でもいいような書き方をしているから、自社に合わない人ばかり集まってきているのです。
「面接」で辞退されている場合:
面接官の態度が悪いか、会社の魅力を伝えきれていません。
面接は選ぶ場であると同時に選ばれる場であることを忘れていませんか?
「内定」を出したのに逃げられる場合:
最後の口説き(条件提示やフォロー)が弱いです。
他社に負けています。
人が採れないと嘆く前に、どの段階で、何%の人に逃げられているかを数字で出してください。
そうすれば、求人票を直すべきか、面接官を教育すべきか、打つべき手は自ずと決まります。
「うちは離職率10%だから平均的だ」と安心している社長、要注意です。
その10%の中身を見てください。
もし、長年勤めたベテランは辞めていないけれど、入社1年未満の新人ばかりが辞めているなら、それは緊急事態です。
見るべき数字は、入社3ヶ月・半年・1年以内の離職率です。
ここが高い場合、原因は現場の教育ではありません。
以下のどちらかが崩壊しています。
採用の失敗(入り口):
そもそも自社に合わない人を、数合わせで無理やり採用していないか?
受け入れ体制の失敗(初期教育):
入社初日に放置したり、見て覚えろと突き放していないか?
新人がすぐに辞めるのは、苗木を植えて、水をやらずに枯らしているのと同じです。
この数字が高い限り、どれだけ採用費をかけても、会社にお金は残りません。
社員が辞表を持ってきてから「どうしたんだ!」と慌てても手遅れです。
経営者に必要なのは、誰かが辞める前に異常を察知する予知能力です。
これを数字で出すための、たった一つの究極の質問があります。
「あなたは、親しい友人に当社の社員として働くことを勧めたいですか?」
この質問に対し、0点〜10点で点数をつけてもらってください(無記名アンケートでOKです)。
勧めたい(9〜10点)人が多ければ、その組織は盤石です。
逆に、勧めたくない(6点以下)人が多ければ、それは半年後に離職ラッシュが起きるという警報です。
社員は、自分自身が会社を愛していなければ、絶対に友人には勧めません。
この点数が下がってきたら、誰かが辞める前兆です。
すぐに面談をするなり、不満の原因を探るなり、手を打ってください。
採用・定着は、感情であると同時に、科学です。
俺の勘に頼る経営は、もう卒業しましょう。
数字は嘘をつきません。
厳しい現実(数字)を直視し、そこから逃げない社長だけが、人が定着する強い組織を作れるのだと考えます。