「テレワークを導入したけど、あいつら家で本当に仕事してるのか?」
「やっぱり、夜遅くまで会社に残って頑張っている社員の方が可愛く見える」
本音では、そう感じている経営者様も多いのではないでしょうか。
その感覚、人間としては当たり前です。
しかし、経営者としてその感情だけで評価を決めてしまうと、組織に致命的な亀裂が入ります。
今回は、ハイブリッドワーク(出社と在宅の併用)で最も失敗しやすい評価の不公平(えこひいき)の問題と、その解決策について、きれいごと抜きで解説します。
心理学には「近接性バイアス」という言葉がありますが、平たく言えば「人間は、物理的に近くにいる人を無意識に優遇する」という性質を持っています。
毎日顔を合わせる部下には、雑談ついでに重要な仕事のチャンスを渡す。
画面の向こうにいる部下のことは、悪気なく忘れてしまう(去る者は日々に疎し)。
「遅くまで会社にいる=頑張っている」と錯覚し、成果が出ていなくても評価してしまう。
これが出社組と在宅組の間に見えない壁を作ります。
在宅で真面目に成果を出している社員からすれば、「結局、社長はごますり上手な出社組しか見ていない」と感じ、静かに心が離れて(退職して)いきます。
感情で評価しないためには、仕組み(ルール)で縛るしかありません。
① 「頑張ってる姿」を評価しない(完全成果主義)
テレワークでは汗をかいている姿は見えません。
ですから、「何時間働いたか」「どれだけ苦労したか」というプロセス評価を一切捨ててください。
「今月の目標はこの数字。達成すれば、家で寝転がっていても評価する。未達なら、会社に泊まり込んでも評価しない」
これくらいドライな成果一点突破の基準がないと、テレワークは機能しません。
② 会議は「全員画面越し」が鉄則
会議室に数人が集まり、1人だけZoom参加。
これは最悪です。
会議室のメンバーだけで盛り上がり、リモート参加者は蚊帳の外になるからです。
もし会議室に集まる場合でも、全員がPCを持ち込み、全員がZoomにログインすることをルールにしてください。
全員が同じ条件(画面)で話をしない限り、情報は必ず偏ります。
③ 手当の不公平をなくす
「出社組は定期代が出るのに、在宅組の光熱費は自腹か?」
という小さな不満が、ボディブローのように効いてきます。
通勤定期代を廃止して実費精算にし、浮いた経費を全社員一律の通信手当に回すなど、金銭的な公平感を演出することも重要です。
「じゃあ、出社させる意味はないのか?」というと、そうではありません。
PC作業は家の方が捗ります。
わざわざ出社させるなら、PC作業は禁止にしましょう。
出社の目的は雑談とチームビルディングです。
「今日は出社日だから、仕事(作業)はしなくていい。みんなでランチに行って、ホワイトボードを使ってアイデア出しだけしろ」
これくらい割り切ってこそ、オフィスの価値が生まれます。
「顔が見えないと不安」なのは、社長が社員を信じていないか、評価基準が曖昧だからです。
「どこにいても成果さえ出せば正当に評価される」という安心感を作れるか。
それが、これからの時代に優秀な人材が残る会社の条件だと考えます。