「退職時の有給消化で揉めている」
「引継ぎが適当なまま、辞められてしまった」
退職のプロセスは、雇用関係の中で最もトラブルが起きやすい場面です。
しかし、ここで飛ぶ鳥跡を濁さずで綺麗に送り出せるか、喧嘩別れになるかで、その後の会社の評判は大きく変わります。
近年、退職プロセスを適切に管理するオフボーディングという考え方が注目されています。
退職者を裏切り者ではなく卒業生(アルムナイ)として扱い、将来の顧客や協力者に変えるための、実務的な4つのステップを解説します。
退職を告げられた時、経営者や上司は動揺します。
しかし、ここで怒ったり、冷たい態度を取ったりしてはいけません。
まずは「話してくれてありがとう」と受け止め、法的な確認を行います。
民法上、退職の申し出から2週間で雇用契約は終了しますが、就業規則で1ヶ月前と定めている場合が一般的です。
引継ぎ期間として1ヶ月は必要という会社のルールを丁寧に説明し、合意の上で退職日を確定させます。
最大の火種は有給消化です。
退職時には残った有給を消化する権利が労働者にはあります。
これを会社が拒否することは違法です。
「忙しいのに困る」と拒絶するのではなく、「権利は認めるので、その分、引継ぎ書を完璧に作成してほしい」とバーター(交換条件)で交渉するのが賢明です。
立つ鳥跡を濁さずの精神を説き、最終出社日までのスケジュールを緻密に組みましょう。
退職が決まった社員は、会社にとって「最も正直なフィードバック」をくれる貴重な存在です。
最後の面談では、引き留めは一切せず、以下のような質問をして組織の改善点を探ります。
「本当の退職理由は何だったのか?」
「会社のどの制度が使いにくかったか?」
「もし一つだけ会社を変えられるなら、何を変えるか?」
ここで得られた情報は、次の採用や定着施策の宝の山となります。
最終出社日は、盛大に送り出してください。
花束を渡す、送別会を開く、寄せ書きを贈る。
「そんなことしたくない」と思うかもしれませんが、心理学にはピーク・エンドの法則があります。
人は、物事の一番盛り上がった時と最後(エンド)の印象で、全体の評価を決定します。
在職中に色々あっても、最後が温かい送り出しであれば、その社員にとって会社は良い思い出として記憶されます。
逆に、最後が冷淡であれば、全ての思い出が最悪に上書きされ、口コミサイトに悪評を書かれるリスクとなります。
辞める社員は、明日から社外の人(世間)になります。
彼らを敵に回すか、ファンにするか。
それは最後の手続き一つで決まります。