「社員が突然、診断書を持ってきた。どう対応すればいい?」
「休職させている間、給料や社会保険料はどうなるの?」
メンタルヘルス不調は、どの会社でも起こりうることです。
しかし、初めて直面する経営者様にとっては、制度が複雑で戸惑うことも多いはずです。
対応を間違えると、社員の回復が遅れるだけでなく、会社が法的なリスクを負うこともあります。
今回は、難しい法律用語は抜きにして、会社が具体的に何をすればいいのかを、時系列の4ステップで解説します。
診断書が出たら、まずは休ませることが最優先です。
「引継ぎが終わってから」と言いたくなる気持ちは分かりますが、無理をさせて悪化すれば、会社の責任(安全配慮義務違反)を問われます。
即座にやるべきこと:
休職命令:
就業規則に基づいて「明日から〇ヶ月間、休職としなさい」と書面で通知します。
原因のヒアリング:
もし、上司のパワハラや長時間労働が原因の可能性があるなら、すぐに社内調査をしてください。
これを放置するのが最大のリスクです。
休職中、会社が給与を払う必要は基本的にありません(就業規則によります)。
その代わり、社員の生活を守るために傷病手当金の手続きをサポートします。
傷病手当金とは:健康保険から、給与の約3分の2が支給される制度です。
ポイント:最近の制度変更で、休み休みであっても「通算して1年6ヶ月分」もらえるようになり、使いやすくなっています。「お金の心配はせず、治療に専念して」と伝えてあげてください。
注意点:住民税と社会保険料(本人負担分)は免除されません。会社が立て替えるのか、毎月振り込んでもらうのか、最初に決めておきましょう。
心配だからと毎週電話したり、逆に腫れ物扱いで完全放置したりするのはNGです。
正解は、事務的な連絡を、メールなどで月1回です。
会社には社員の状況を把握する義務があります。
「体調はどうですか? 傷病手当金の申請書を送りますね」といった事務連絡を通じて、緩やかに繋がっておくことが、スムーズな復職への布石になります。
主治医が復職OKと言っても、鵜呑みにしてはいけません。
医師の言う復職可は日常生活が送れるレベルであり、バリバリ仕事ができるレベルではないことが多いからです。
いきなりフルタイムに戻すのではなく、リハビリ出勤(試し出勤)を検討しましょう。
午前中だけ来て、軽作業をする。
通勤ラッシュを避けて出社し、図書館で本を読む(通勤訓練)。
「リハビリだから無給ね」と言って、実際の仕事(電話番やデータ入力)をさせることです。
会社の指揮下で業務をさせれば、それは労働です。
無給で行わせれば違法となり、後で未払い賃金を請求されるトラブルになります。
リハビリ期間はあくまで治療の一環として業務をさせないか、業務をさせるなら給与を払うか。
ここだけは曖昧にせず、線引きをしてください。
メンタル対応の基本は「焦らせない・孤立させない・無理させない」です。
制度を正しく使い、お金の不安を取り除いてあげること。
それが、社員が安心して戻ってこられる場所(会社)を守ることにつながります。