「社員同士のコミュニケーションを深めたいが、飲み会や旅行を企画すると『業務ですか?』と聞かれるのが怖い」
たまに経営者様から、このようなご相談をいただきます。
昭和・平成の時代、組織の一体感を作るのは、同じ釜の飯を食う(寝食を共にする)ことでした。
しかし、令和の今、その手法は通用しないのでしょうか?
結論から申し上げますと、「イベント自体は必要だが、設計思想(OS)のアップデートが必要」です。
かつての社員旅行が成立していたのは、終身雇用という前提があり、会社と社員が家族のような関係だったからです。
しかし現在は、個人のライフスタイルや価値観が多様化しています。
この状況下での強制参加(または、不参加を選びにくい同調圧力)は、社員にとって「時間という資源の搾取」と捉えられかねません。
良かれと思って企画した旅行が、皮肉にも
「この会社は古い」
「個人の時間を尊重してくれない」
という離職の引き金(定着率低下の要因)になってしまうのです。
では、交流は不要かと言えば、そうではありません。
業務外の雑談や交流が心理的安全性を作るのは事実です。
成功している企業が取り入れているのは、選択肢のあるイベント設計です。
カフェテリアプラン方式:
全員一律の旅行ではなく、「BBQ」「高級ランチ」「観劇」「マッサージ券」など、複数の選択肢から社員が選べるようにする。
ランチ会へのシフト:
夜の飲み会(プライベート時間の拘束)ではなく、業務時間内(ランチ)に美味しいものを食べる会にする。
ポイントは、参加しないことを選んでも、不利益や疎外感を与えない仕組みにすることです。
イベントの手法を変えるだけでは不十分です。
そもそも、社員が「会社の人とご飯を食べたい」と思えているでしょうか?
もし、自由参加にして誰も来ないのであれば、それはイベントがつまらないのではなく、日頃の人間関係や信頼関係に問題があります。
イベントはあくまで確認作業です。
「このメンバーとなら、業務外でも話してみたい」
そう思える組織風土を作ることこそが、本質的な対策です。
小手先の福利厚生ではなく、まずは心理的安全性のある職場づくりから始めませんか?