「うちはアットホームでみんな仲が良いから、心理的安全性は高いよ」
「部下に厳しくすると心理的安全性が下がるから、あまり言わないようにしている」
経営者やリーダーの方と話していると、このような声を耳にすることがあります。
しかし、その解釈は、間違いです。
もしあなたの会社が、
「誰も傷つかないけれど、誰も挑戦しない」
「会議で誰も反対意見を言わない」
状態だとしたら、それは心理的安全性が高いのではなく、単なるヌルい職場かもしれません。
今回は、組織作りで最も誤解されやすいキーワード、「心理的安全性」の本当の意味について解説します。
心理的安全性は、Googleの調査によって有名になった言葉ですが、その定義は「みんなが優しく接してくれること」ではありません。
本当の定義は、「無知、無能、ネガティブだと思われる行動をしても、このチームなら対人関係のリスクがないと信じられること」 です。
簡単に言うと、 「こんなことを言ったら『バカだと思われるかな』『怒られるかな』と不安にならず、率直に意見が言える状態」 のことです。
つまり、上司の顔色を伺って黙っているのではなく、「上司、それは間違っていると思います」と部下が言える状態こそが、心理的安全性が高いチームなのです。
心理的安全性だけが高く、仕事の基準(目標)が低いと、どうなるか。
それは、居心地が良いだけの「快適な職場(ヌルい職場)」になります。
逆に、心理的安全性が低く、仕事の基準だけ高いと、どうなるか。
失敗が許されない「不安な職場(ブラックな職場)」になります。
私たちが目指すべきは、心理的安全性が高く、かつ仕事の基準も高い「学習する職場」です。
ここでは、高い目標に向かって、お互いに厳しい意見も言い合います。
「もっとこうした方がいい」
「それはリスクがある」
そんな「健全な衝突」が起きても、人間関係が壊れないという信頼がある。
これこそが、目指すべき組織の姿です。
では、どうすればそんな組織が作れるのか。
リーダーができる最初の一歩は、「自らの弱みを見せること」です。
「私は全てを知っている完璧なリーダーだ」と振る舞うと、部下はミスを隠そうとします。
そうではなく、
「この部分、私の知識不足だから教えてくれないか?」
「さっきの私の判断、もし間違っていたら指摘してほしい」
リーダーが先に鎧を脱ぐことで、部下も
「ここでは完璧じゃなくてもいいんだ」
「悪い報告をしても責められないんだ」
と感じることができます。
心理的安全性とは、波風を立てないことではありません。
むしろ、「成果を出すために、恐れずに波風を立てられる環境」のことです。
言いにくいことがテーブルの上に上がり始めたら、それは組織が強くなっている証拠です。
仲良しクラブを卒業し、プロフェッショナルな信頼関係を築いていきましょう。