「夜遅くまでオフィスの電気がついていると、みんな頑張っているなと安心する」
もし経営者であるあなたがそう感じているとしたら、それは危険信号です。
かつては「長時間労働=愛社精神・やる気」と見なされる時代がありました。
しかし今は違います。
ダラダラと続く長時間労働は、会社の利益を食いつぶすだけでなく、本当に優秀な社員を退職へと追い込む最大の要因になっています。
今回は、長時間労働が組織にもたらす見えない損失について解説します。
組織にはパレートの法則(2:8の法則)が働いており、2割の優秀な社員が8割の成果を出していると言われます。
優秀な社員は、スキルが高く、段取りが良いので、定時内に仕事を終わらせることができます。
一方、仕事が遅い社員は、ダラダラと残業をしがちです。
現在の日本の給与体系(残業代)では、結果としてどうなるでしょうか?
優秀な社員:テキパキ終わらせて定時で帰る(残業代なし)。
仕事が遅い社員: 夜遅くまで残り、頑張っていると評価され、残業代まで貰える。
優秀な社員から見れば、「なぜ仕事ができない人の方が給料が高いのか?」という強烈な不公平感が生まれます。
これが、優秀な人材がバカバカしいと感じて辞めていく典型的なパターンです。
脳科学的にも、人間の集中力が持続するのは限界があります。
朝から晩まで働き詰めでは、夕方以降はただ作業をこなしているだけになり、クリエイティブな発想や業務改善のアイデアは生まれません。
「どうすればもっと早く終わるか?」を考えず、「遅くまでやればいいや」と時間を解決策にする癖がつくと、組織全体が思考停止に陥ります。
これは生産性の低下に直結します。
この悪循環を断つためには、評価の軸を変える必要があります。
遅くまで残っている人が偉いではなく、時間内に成果を出した人が偉いと明確に宣言することです。
具体的には、
定時退社を推奨し、早く帰る人を評価する。
残業を減らして浮いたコストを、賞与などで社員に還元する(利益配分)。
「早く帰る=サボり」という空気を一掃しない限り、生産性の向上も、優秀な人材の定着も望めません。
残業削減を叫ぶ社長が、毎晩遅くまで会社に残っていませんか?
社長がいる限り、社員は帰りづらいものです。
まずは経営者自身が、定時になったらスパッと切り上げて帰る。
その背中を見せることこそが、最も効果的な働き方改革のメッセージになります。