「採用した新人が、試用期間が終わるタイミングで『辞めたい』と言ってきた…」
この3ヶ月の壁での離職は、多くの企業で共通する悩みです。
この時期に辞めてしまう最大の原因は、業務のミスマッチではありません。
期待とのギャップ(リアリティ・ショック)と組織に馴染めない孤独感です。
入社直後はお客様として歓迎されますが、徐々に社員(メンバー)としての成果を求められるようになります。
この移行期に適切なサポート(オンボーディング)がないと、新入社員は「放置された」「思っていたのと違う」と感じ、心が折れてしまいます。
定着率の高い会社は、この3ヶ月間を現場任せにせず、会社として計画的にフォローする仕組みを持っています。
新入社員が組織に馴染むために、会社側が必ずアクションを起こすべき4つのタイミングがあります。
初日は最も不安な日です。「ここにいていいんだ」という安心感を与えます。
ウェルカムランチ:チームメンバーと食事をし、人となりを知ってもらう。
期待値の調整: 「最初の1週間はこれだけできれば100点です」と、ハードルの低い具体的な目標を示し、焦りを消します。
1週間経つと、緊張の糸が少し緩むと同時に、分からないことだらけで自信を喪失しがちです。
振り返り面談:「できたこと」にフォーカスして褒めます。「挨拶が元気でよかった」「電話に一度出られたね」など、小さな成功体験(スモールウィン)を承認し、自信を持ってもらいます。
入社前のイメージと現実のズレが明確になる時期です。
ギャップ面談:「入社前と入社後で、悪い意味でのギャップはあった?」と正直に聞きます。「思ったより会議が長い」「システムの使い方が分からない」などの小さな不満をこの段階で吐き出させ、早期に対処します。
試用期間の終了は、真のメンバーになる節目です。
本採用面談:単なる手続きで終わらせず、「これからのあなたに期待すること」を改めて伝えます。
3ヶ月後の目標設定:「次はこれを任せたい」と未来の話をし、組織の一員としての自覚を促します。
これらのフォローを気が利く上司の属人的な能力に任せてはいけません。
「入社○日目には、必ずこれをやる」とカレンダーに予定を入れ、会社全体の仕組みとして運用することが、定着率向上への近道だと考えます。