「大変申し訳ありません。妻に反対されてしまいまして…」
採用の最終局面で起こる内定辞退の理由として、非常に多いのがこの家族ブロック(嫁ブロック・夫ブロック)です。
特に中小企業の場合、大企業に比べて知名度や安定性の面で不安視されやすく、ご家族からの反対にあうケースが後を絶ちません。
ここで重要なのは、転職は、本人だけでなく、家族にとっても重大なライフイベントであるという視点です。
内定辞退を防ぎ、入社後の定着まで見据えるならば、応募者本人だけでなく、その背後にいるご家族も一緒に採用するという(ファンになってもらう)意識が必要です。
ご家族が反対する理由は、主に情報不足による不安です。
面接を通じて社長の熱意や会社の魅力を直接聞いている応募者本人とは違い、ご家族は会社名や求人票の条件といった断片的な情報しか持っていません 。
「聞いたことない会社だけど、大丈夫なの?」
「今の会社(大手)を辞めてまで行く価値があるの?」
「休みはちゃんと取れるの? 給料は下がらない?」
こうした不安に対し、応募者本人が口頭で説明しようとしても、うまく伝わらないことがほとんどです。
結果として、「あなたが言うなら仕方ないけど…」としこりが残ったり、最悪の場合は辞退につながったりします。
ご家族の不安を払拭し、応援してもらえるようにするためには、会社側(特に社長)から直接メッセージを届けることが最も効果的です。
最も推奨する方法です。
文章よりも人柄や熱量が伝わるため、安心感醸成に非常に効果的です 。
誰が?: 社長(または部門責任者)が自ら出演します 。
何を?:
内定者とのご縁に対する感謝
内定者のどんな点を評価し、期待しているか
会社のビジョンと安定性
「ご家族も大切にする」という会社の姿勢(福利厚生や休日の改善実績など)
どうやって?: 高画質な編集動画である必要はありません。Zoomなどで社長が語りかける様子を録画し、そのURLを内定者に送って「ご家族にも見せてあげてください」と伝えるだけで十分です 。
動画が難しい場合は、社長直筆の署名が入った手紙を内定通知書に同封する、あるいはご自宅へ郵送することも有効です。
内容: 動画と同様に、感謝と期待、そして責任を持って預かるという覚悟を記します。
効果: 「わざわざ社長から手紙が来るなんて、しっかりした会社だ」という信頼感につながります。
ご家族へのフォローは、単なる内定辞退防止策にとどまりません。
「社長さんがそこまで言ってくれるなら、頑張りなさいよ」
とご家族が味方になってくれれば、入社後に辛いことがあっても、家庭がセーフティネットとなり、早期離職を防ぐことにもつながります。
「中小企業だから…」と卑下するのではなく、「中小企業だからこそ、社長の顔が見える安心感がある」と伝えること。
この泥臭い一手間が、採用成功の最後の1ピースを埋めると考えます。