せっかく応募を獲得しても、面接当日に応募者が現れない(=面接辞退・ドタキャン)という問題は、多くの企業が直面する深刻な課題です 。
これは、貴重な面接官の時間と採用リソースを無駄にするだけでなく、採用の仕組みそのものに問題がある可能性を示しています。
応募者の質の問題として片付けるのではなく、会社側でコントロール可能な仕組みとして、面接辞退を防ぐための実践的な技術を解説します。
最大の理由は、採用には必ずライバルが存在するからです 。
応募者は、貴社と同時に2~3社に応募しているのが通常です 。
そして、一番最初に内定をもらった会社や一番対応が誠実だった会社に入社する傾向があります 。
面接辞退は、応募者の熱意が最も高い瞬間(=応募直後)を逃し、ライバル企業にスピードや誠実さで負けた結果、発生しているのかもしれません。
応募者の熱意が最も高いのは応募ボタンを押した直後です 。
この熱が冷める前に、素早く(可能なら3分以内に)電話で接触し 、その場で面接日程を確定させることが、最も強力な辞退防止策となります 。
応募者の属性によって、日程調整の最適な型は異なります。
未経験者・パート職の場合:
スキル選考よりも人柄や熱意が重要です。
電話口で感じが良いと思ったら、書類選考を待たずに、「今日の午後いかがですか?」と、最短の日程を提示して確定させましょう 。
経験者・有資格者の場合:
電話口で前職の経験などを軽くヒアリングし 、面接する価値があると判断したら、その場で日程を確定させます 。
「先に履歴書を郵送してください」というフローは、その間にライバル企業に面接を組まれ、辞退される最大の原因となります 。
履歴書は面接当日に持参してもらうのが鉄則です 。
日程確定後、応募者は「何を質問されるのか」「圧迫面接だったらどうしよう」という不安を抱えています。 この不安を解消するため、詳細な面接案内状を送付します 。
【案内状に含めるべき要素】
・面接官の自己紹介: 「私が面接します」と写真付きで紹介する 。
・社長や配属先の紹介: 社長の写真や、働くことになるメンバーの風景・メッセージ 。
・ 面接の流れ: 当日のタイムスケジュール(例:会社説明15分、面接30分)を明記する 。
・会場までの経路: 迷わないよう、写真付きの詳細な地図を用意する 。
面接辞退を防ぐための最後の砦がリマインド(再確認)です 。
最適なタイミング:
面接前日ではなく、2日前の夕方です 。
万が一、応募者がダブルブッキングしていても、2日前なら再調整が可能です 。
魔法の一言:
リマインドの電話口で、「当日、お飲み物は何がよろしいですか?コーヒーはお飲みになれますか?」といった一言を添えましょう 。
このおもてなしの姿勢が応募者に好印象を与え、「ここまで準備してくれた会社を無断で断るわけにはいかない」という心理的なブレーキとして機能します 。
面接辞退は応募者の質の問題ではなく、会社側の仕組みの問題として捉えています。
これらの技術を社内で標準化・仕組み化することこそが、「人が育ち、人が残る」職場環境の基盤となると考えます。