採用活動において、内定はゴールではありません。
むしろ、ここからが人材で困らない企業になるための、仕組みの本番です。
多くの企業が内定=採用成功と油断し、採用の機会損失を招いています。
なぜなら、内定を出した瞬間から、企業と応募者の力関係が逆転する攻守逆転現象が発生するからです。
選ぶ側だった企業は、選ばれる側に変わります。
応募者は、貴社以外の競合他社、現職の引き止め、そして家族というライバルと、貴社を天秤にかけ始めます。
この内定から入社日までの不安な期間に、企業が誠実なフォローの仕組みを持たない場合、応募者は内定辞退という選択をする可能性があります。
ここでは、その内定辞退を防ぐために構築すべき、4つの仕組みを解説します。
内定承諾を得たら、すぐに退職フォローを実施します 。
これは人材紹介会社が必ず行う鉄板の施策です 。
伝えること:
「退職を申し出ると、必ず一度は慰留されます。それは一般的なマナーのようなものです」
「もし給与アップで残ったとしても、一度辞めると言った事実は残り、結果的に居心地が悪くなったり、リストラの対象になりやすくなったりするケースが多いです」
目的:
内定者が引き留めにあうことを予告し、感情論で流されず辞めきるための理論武装をサポートします 。
面接で社長や担当者がどれだけ熱意を伝えても、その場にいないご家族には伝わっていません 。
実施すること:
社長や社員から、内定者のご家族に向けたメッセージ動画を作成し、お渡しします 。
内容:
「〇〇様(ご家族)へ。この度は〇〇さん(内定者)とのご縁をいただきありがとうございます」
という感謝から始め、会社の安定性、大切にしている価値観、福利厚生(人間ドックなど家族に関わるもの)などを社長自ら語りかけます 。
目的:
ご家族が抱くよく分からない中小企業という不安を払拭し、会社全体で歓迎している姿勢を伝えます 。
現職のしがらみに勝つためには、入社前に新しいしがらみ(良い人間関係)を作ってしまうのが一番です 。
実施すること:
内定者を会社に招待し、配属先の先輩社員や上司とランチをしたり、カジュアルな交流の場を設定します 。
ポイント:
「〇〇さんと一緒に働けるのを楽しみにしています」と先輩社員から直接伝えてもらうことで、内定者は歓迎されていると感じ、入社への心理的なハードルが下がります 。
もう後には引けないという良い意味でのしがらみを作る、物理的な仕掛けです。
実施すること:
内定承諾後、早めに名刺の発注、ユニフォームの採寸・発注、社用携帯の手配などを行います 。
目的:
「自分のために、もう会社が動いてくれている」「コストをかけて準備してくれている」という事実が、内定辞退の強力な抑止力となります 。
中小企業が、給与や休日といった条件面だけで大企業と勝負するのは困難です 。
しかし、選考プロセス、特に内定後のきめ細かなフォローアップは、会社の規模に関係なく、むしろ中小企業だからこそ徹底できます。
内定をゴールではなくスタートと捉え 、内定者の不安に寄り添い、歓迎する仕組みを整えること。
それこそが、コストをかけずに採用競合に打ち勝つ、最も確実な戦略だと考えます。