「応募があったから、面接日を調整したのに、当日になって連絡が取れない」
「約束の時間になっても、候補者が現れない」
いわゆる面接のドタキャン(無断キャンセル)は、企業にとって、準備した時間、会議室、面接官(経営層や現場)の工数が全て無駄になる、非常に深刻な問題です。
「社会人として、どういうつもりなんだ」
と、憤りを感じるのも無理はありません。
しかし、私たちは、これを応募者のマナーの問題だけで片付けてしまうのは、非常にもったいないと考えています。
なぜなら、そのドタキャンは、貴社の応募後の対応(仕組み)が、競合他社にスピードで負けていることが原因かもしれないからです。
これは、面接でミスマッチが起きる以前の、応募後のミスマッチと呼ぶべき現象です。
応募者が「応募ボタン」をクリックした瞬間。
この瞬間こそが、その応募者の入社(転職)意欲が最も高まっているゴールデンタイムです。
しかし、その熱意は、時間と共に急速に冷めていきます。
なぜなら、応募者は貴社だけに応募しているのではなく、3~5社の競合に同時に応募しているからです。
もし、貴社(A社)の対応が遅れ、応募から3日後にメールで返信したとします。
その間に、競合(B社)が応募から30分後に電話をかけ、面接日程を確定させていたら、どうなるでしょうか。
応募者の熱意は、先に誠意(スピード)を見せたB社に傾き、A社(貴社)の面接は(B社で決まったら)行かなくてもいいやという優先度の低い予定になってしまいます。
これが、面接ドタキャンが発生する正体です。
この熱意のゴールデンタイムを逃さないための最強の仕組みが、「応募後3分以内の電話(ファーストコール)」です。
「応募ボタン」を押した直後の応募者は、(応募した)企業からの連絡を待っている状態です。
そのスマホを握りしめているタイミングで電話をかけることで、
電話に出てもらえる確率が劇的に高い
「(え、もう連絡が来た!)」という驚きと誠意が伝わる
という、2つの効果があります。
メールでのやり取りは、「(日程を)送る」→「(応募者が)確認する」→「返信する」→「(会社が)確定する」と、時間がかかりすぎます。
その間に、応募者の熱意は冷め、競合(B社)に電話で先に日程を奪われるリスクがあります。
応募者の熱意が最も高いその場で、(熱意ある)声で、面接日程を確定させることが重要です。
「3分以内」の対応は、根性では続きません。
(仕組み①) 応募があったら、担当者(社長・人事)のスマートフォンに即時通知が飛ぶように設定する。
(仕組み②) 「誰が(Aさんが休みの日はBさん)」「何時まで(例:夜20時以降の応募は翌朝9時に)」電話をかけるか、社内ルールとして明確にする。
(仕組み③) 電話口で聞くこと、日程調整の型を、あらかじめトークスクリプトとして用意しておく。
面接のドタキャンは、応募者の質を嘆く前に、自社のスピード(仕組み)を見直すチャンスです。
応募者の熱意に応える企業側の熱意(=スピード)を仕組み化すること。
それこそが、「人を迎え、人が育ち、人が残る」職場環境の基盤となります。